愛なき人々

ある日moontyは、親戚の男の子。
親戚の男の子、彼のいとこがおばと一緒に来ているのを見た。
夫婦の仲が険悪なその二人について、彼はいろいろな、畜生よりも低い人間性
彼の家族に垣間見たのだった。
「ああ、なんということだ。はじめは自分と血縁関係にあるおばを一方的に味方だと決め付け、相手の、つまりはおばの夫が借金があるだのなんだの、難癖つけて非難していたのだ。ところが一転、よくよく考えてみるとおばも悪いことに気づき、いとも簡単に評価を変えてしまうのだ。欠点など誰にでもある。欠点を指摘したところで状況は打開しない。それは彼らが全体でなく、個の世界に生きているからだ。独断。あらゆる独断は、あらゆる価値判断を誤らせる。現代の病にかかった人々は、自分と人の価値観が違うのを当然と思っている。客観的、誰が見ても美しく、善いものを否定する。頑なに。絶対に肯定しない。現代の病は、あらゆるところに浸透しているようだ」
幼い彼のいとこは、夫婦の仲が悪いのもあるのか、おばにやたらと気を使い。少し発達障害が出ている。彼は年中にもなるというのに、「火事」や「泥棒」をしらないのだ。おばは彼に本を読んでやることもしないし、テレビを見せることもしない。虫眼鏡などを買い与えて、彼の科学的素養に触れることもしない。
「ああ、彼はこのままでは、完全に個に閉じた人間になってしまう。どうすればいいのだろう。私の哀れな、畜生以下の親たちは、私がなにか私のいとこにしてやればどうかと言ったら、もったいないだの何だのと、また独断で文句を言うのだ。愛。あらゆるものに対する愛は、すべてにおいて重要である。愛することへの意志もまた重要だ。愛を失い、現代の病にかかった人々は、憎みあい、殺し合い、いがみ合い、決して理解しあうことなしに、自己の内に閉じたかわいそうな人々になっていくのだ。そうだ。私はかわいそうな彼らを愛さなくてはいけないのだ!!。彼らに憎まれ、殺されることになっても、私は彼らに美しく、善い物への愛、愛することへの意志を伝えなければいけないのだ。喜んで愛のために死のうじゃないか、殉教者になろうじゃないか」
彼は彼のいとこに、虫眼鏡を買ってやることに決めた。