差別、偏見

ある日moontyは珍しく朝早くおきて
両親のいる下の階へと下っていった。
最近は父親のほうがしきりに「朝鮮人」「朝鮮人」と連呼している模様だった。
それに耐えかねたmoontyは彼らに向かってこう言った
「ああ、愚かな親たちよ。あなたがたは彼らに対してなぜ偏見の目を抱くのか」
「決まっているじゃないか、やつらは朝鮮人だ。パクリ、内政干渉、犯罪、やりたい放題だ。それに何かにつけて日本をけなしてくるじゃないか」
「ああ、愚かな親たちよ。あなた方は間違っている。ぼくはここで差別はよくないというのではないのだ。みさくらな○こつ先生の本に書いてあるように、歴史認識だのなんだの、理由を探すからいけないのだ。彼らは気持ち悪い、汚い、受け入れられない、どうして事実だけを求めないのか。認識に基づく差別は、あまりにもめんどくさいではないか」
そこまでいうと、親たちはぽかんとしてもうそれ以上何も言わなくなった。
moontyはそれを見て、自分がこんな愚かな人々から生まれ出たことを恥ずかしく思った。
そして部屋に戻ると、爆音でノイズを流しながら、虚空に向かってこうつぶやいた。
「ああ、なんと愚かなのだろう。差別や偏見、みなドグサでしかないのに、誰も彼も自分の独断は他人の独断より勝っていると思うのをやめられないのだ。どうしてだろう。私は知る必要がある。おお、家の前に神社があるではないか。差別がなくなるように、お祈りでもしにいこうか。ああ、大いなる独断の能力よ。なぜ我々はこんなにも不必要なものを有しているのか!!かわいそうな人間たちはその力を信じてやまないのだ。そして自分と違うものに対しての独断は、真理を汚らしいつばで汚し、堕落させ、ひとつの正しそうなものへの意識を生み出してしまうのだ。ああ、どうして人間はこんなにもかわいそうなのだろう。ぼくはこれからも考えなければいけないようだ」
彼は長い長い呟きを終えて、まだ温もりの残る布団へともどり、妄想領域へ旅立っていた。
そこでは、彼の5人の彼女と、1人の美少年が、彼を温かく迎えてくれるのだ。自分の理想に閉じた世界、なんと美しいことか!そこには自分の独断がすべてに先行する。
今の現実は、なんと妄想と取り違えられていることか。哀れなことだろうか。
彼は理想郷の中でも、そうつぶやいた。