二つの買いたいもの

ある日moontyは焼肉の幹事を引き受けて、焼肉を食べた。
くだらなくも面白い、合同展の人々と、
文句を言っていた海城の変な男も、今日はどうやら黙っているようだった。
彼は気分がすっかり気分をよくして、その帰り道、CD屋に寄ったのだ。
「おおmassive attackのベスト盤よ、汝はどうして私をこんなにも悩ませるのか。私はbiosphere様に仕えるために新盤を買わなければいけないのだ。おお、massive attackよ。私はどうすればいいのか。財布の中には君たち両方を買うのに十分な金があるのだ」
CDに向かってそうつぶやいていると、妙な男が話しかけてきた。
「なら、両方買えばいいではないですか。迷うことはないのです。十分な金があるのですから。あなたの意志は両方に明らかに向いている。意志を遂げることは、何よりも重要ではありませんか」
moontyはそれを聞くと、説教をするような口調で返すのだった。
「ばか者。意志を達成することは確かに重要だが、君の分析は甚だ誤謬だ。君は間違っている。両方への意志のほかにも、買わないということへの意志。強い意志か弱い意志か決まらない不確定な、甚だ不確定な意志が私の中にあるのだよ。だから、私はいまこうして判断を下している。意志に対する洞察だ」
「先日、迷ったら両方だと豪語していたではありませんか」
「君が意味を取り違えたのだろう。判断をそんなことで停止するのは、愚かなことだ。され、悪魔よ、愚人よ、神よ、賢者よ。あなたはここにいるべきでない」
男は去っていった。
さて、とmoontyは悩んだ。どうしようか、私はどちらを買えばいいのか。
独断と偏見と、わずかな偶然。それで決めればいいではないか。
かれはそう思い至り。結局massive attackのCDを買ったのだった。
一方で彼の頭の中は、かわいい桜蔭生のことでいっぱいだった。